LH / Works / できるだけ省いた家
なんとなく古い倉庫みたいな家に住んでみたいと思っていた。
建物の高さも天井も低め。
エントランスから入ると間仕切りもなく見通すことができる。
各室へアプローチはひとつの大きな室から行くことができる。
住宅であれば当たり前にあるものが無かったりもする。
できるだけ省いてみることにした。
天井は2300mmまで下げた。軒高は2800mmまで下げた。
建物の最高高さを3690mmとした。
ちょっとした踏み台で天井に手が届く。
大きめな脚立があれば屋根に手が届く。
書斎とエントランス。
「靴を磨くための書斎」と「靴を置くエントランス」。
廊下とユーティリティ。
「すべての室につながる廊下」と
「ユーティリティとしての作業スペースや収納」。
2つの室を1つにした。効率化を図り、スペースを省いた。
クローゼットのような収納はひとつも設けなかった。
効率よく収納量を確保するために、1室に集約して収納を「置く」。
各室には家具を収納として「置く」。
状況に応じて可変できる空間が確保できる。
気分によって好きな家具を入れ替えてみる。
家具店のショールームのように。
建具はすべて同じかたちの開き戸のみにした。
引き戸によるスペースのロスを防ぐ。
同じかたちにすることで作業の効率化を図る。
装飾も着色もしない。可能な限りの最低限、最小限の建具。
これで十分だと思った。
照明器具はダウンライトのみ。選択することを省いておく。
ひとつの照明器具だけで考えてみる。
室によってサイズや配置で変化を加えてみる。
照明器具とスイッチの配置をリンクさせた。
感覚的に照明の配置を把握する。
パズルのような感覚で必要な場所にあかりを灯す。
照明器具ではなく、スイッチのように「手にふれるもの」を主張させた。
高さを省く。各室を省く。収納を省く。
建具を省く。照明を省く。
できるだけ省いたことで、これから中身を余分に楽しむ。
竣工
2019年 7月
所在地
茨城県水戸市藤が原
主要用途
一戸建ての住宅
構造
木造平屋建
敷地面積
458.59m² (138.55坪)
建築面積
149.06m² (45.03坪)
延床面積
125.87m² (38.03坪)